H19においては、インドシアニングリーン(ICG)と金ナノ粒子(GNP)の結合体(ICG-GNP)の創製を行い、さらにその光学特性を調べた。 1.ICG-GNP創製 (1)アミノアルカンチオールを架橋剤にしてICGとGNPとの結合を試みたが、結合安定性が低く、ICGとGNPが非特異的に結合するのみであった。 (2)上記結果を受けて、ICGではなく、ICGの母核(tricarbocyanine)を有しアミンの選択的標識が可能な活性エステルである、ICG-Sulfo-OSuを用いて合成をおこなったところ、ICG-GNP結合体を作製できた。 (3)ICGは生体投与後リポタンパク等と結合し循環するため、この現象を利用してICGキャリングシステムとして機能させるべく、アルブミン(Alb)-GNP結合体の作製も試みた。架橋剤として、スクシンイミド基を有したポリエチレングリコール(PEG)製剤であるOPSS-PEG-NHSを用いて合成をおこなったところ、Alb-GNP結合体を作製できた。 2.ICG-GNP光学特性 (1)作成したICG-GNPの吸光スペクトラムは、二峰性の吸収ピーク(〜530nm、〜650nm)を有し、それぞれ、GNPに由来するプラスモン共鳴と、ICGのオリゴマーに起因するものと推測された。これは、GNPがICGに高濃度(>〜10uM)で結合しているためで、ICGモノマー由来の吸光(〜780nm)増加のためには、ICGを低濃度にする必要があることが示唆された。 (2)吸光(〜780nm)ならびに蛍光(ex.785nm、em.810nm)強度は、弱〜強の順に並べると下記のようになった。Alb-GNP結合体+ICG混合液<ICG単独<ALB+ICG混合液 この結果は、Alb-GNP結合体+ICG混合液においては、GNPのプラスモン共鳴で光吸収が生じ、ICGへの光吸収が減じていることを示唆する。
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