H20においては、インドシアニングリーン(ICG)と金ナノ粒子(GNP)の結合体(ICG-GNP)の細胞内取り込みを評価した。 (1)ICG-GNPの細胞内への取り込み H19に開発したICG-GNPが、動脈硬化病変における貪食細胞(活性化マクロファージ)に取り込まれることで、血管病変の診断・治療が可能となる。そこで本研究では、コンセプトプルーフのための基礎的検討を行った。すなわち、細胞膜受容体のリガンドを付加したICG-GNPを構築し、細胞内への取り込みを検証した。 (1)mAB-ICG-GNPの合成 細胞受容体としてEGFR(上皮成長因子受容体)を選択し、乳がん細胞(SKBR3)を用いて検討した。 まず、EGFRのモノクロナール抗体(mAB)とICG-Sulfo-OSuをアミド結合させた混合物(mAB-ICG)を作製した。次にmAB-ICGを、NHS活性エステル試薬を用いてGNP(60nm)と結合させ、最終complex(mAB-ICG-GNP)を合成した。 (2)細胞内への集積 mAB-ICG-GNPの乳がん細胞SKBR3への取り込みを観察した。mAB-ICG-GNPは単純添加のみで細胞内に取り込まれ、核を除く細胞質内に均質に分布することがわかった。すなわち、mAB-ICG-GNPによる細胞標識を行えることが示された。本結果は、ICG-GNPによる血管病変の診断・治療が可能であることを示唆する。
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