人工心肺装置に安全装置およびセンサー類を装備し、コンピュータ制御のシミュレータで、臨床で経験することが多い、あるいはめった経験しないが重篤になりやすい種々のトラブルを発生させる訓練プログラムを工夫し、さらに訓練効果を客観的に評価可能になれば、今後の体外循環の安全教育に有用であると考えた。そして、シミュレータを開発し、システムを構築し、客観的評価を可能にするところまで成し遂げたいと考えた。内容として(1)訓練プログラムの検討、(2)シミュレータのデザイン、(3)コンピュータ制御される応用編シミュレータの開発、(4)シミュレータ用教育用標準回路の開発、(5)トラブルシミュレーション・パターンの作成、(6)基本トラブル対処シナリオ、などを計画した。訓練プログラムとして「人工心肺の安全な操作〜貯血レベルが下がる場合の対処と判断〜」を作成したところe-ラーニングとして魅力的で、今後が期待されるプログラムができた。シミュレータのデザインとして、ECCSIM-Liteおよびサイドワインダーを作成し、教育用標準化回路を提案し、トラブル対処シナリオを数種類作成した。実際に人工臓器学会の人工臓器セミナーのウエットラボ、ハンズオンセッションで、ハードおよびソフト面から使い勝手、教育効果を検討した。教育用回路は、目本胸部外科学会(10月、仙台)および日本心臓血管外科学会(2月、福岡)のハンズオンセッションで使用したところ、評判は良く、今後の人工心肺の安全教育に大きな効果が期待された。
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