研究課題
基盤研究(C)
血液透析の進展に伴い、多くの慢性腎不全患者の延命が可能となったが、患者の平均余命は健常人の半分程度であり、さらなる改良が不可欠である。本研究課題ではそのような背景下、個々の患者にあった透析を在宅で安全に施行できるナビゲーション透析の開発を目的とした。具体的には、透析中のダイアライザ性能ならびに患者からの溶質除去能の経時変化をリアルタイムで測定し、患者にみあった状態へナビゲートするような新しい治療システムを想定している。牛血、牛血漿系のダイアライザ性能評価実験ならびに超音波ドプラー装置を用いた内部濾過流量測定実験、透析液排液中溶質濃度の連続測定実験を通じ、ナビゲーション透析に必要となる基盤技術の創出を試みた。その結果、ダイアライザの透水性、内部濾過特性、溶質除去特性の経時変化に関するデータを詳細に得ることができ、ファウリング(透析膜への膜付着)による影響を強く受けていることが明らかとなった。この性能の経時変化を説明するための理論モデルを立て、ダイアライザ内圧-流量分布に関する血液、透析液流れ方向の運動量、質量の変化を推定し、実験データとの照合を行い、濾過係数などのパラメータ値の時間的推移を求めた。以上の結果から、ナビゲーション透析システムの開発をめざすに必要な基盤技術の開発はある程度達成できたものと考えている。実際のハードウェアの開発は企業化を目指した次のステップ(実用化をめざした研究課題)に委ねることになる。
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奈良県医師会透析部会誌 16巻
ページ: 5-9
腎と透析別冊2009,ハイパフォーマンスメンブレン'09 67巻
ページ: 138-142
腎と透析別冊2008,HDF療法'08 65巻
ページ: 202-204