PLLAおよびPDLAのメチル基がエチル基に置換したポリ(S-2-ヒドロキシブタン酸)[P(S-2HB)]およびポリ(R-2-ヒドロキシブタン酸)[P(R-2HB)]を、それぞれS-2-ヒドロキシブタン酸およびR-2-ヒドロキシブタン酸より縮合重合により合成し、これらをブレンドし、WAXSおよびDSCにより、ホモ-SC形成の可否を検討した。その結果、PLLAおよびPDLAの場合と同様に、世界で初めて、溶液結晶化においても、溶融結晶化においてもポリ(2-ヒドロキシブタン酸)[P(2HB)]のホモ-SCが形成されることを確認した。また、ホモ-SCを形成したブレンド試料の融点(T_m)は、非ブレンド試料と比較して、100℃程度高くなった。P(2HB)のかさ高いエチル基のため、PLAのホモ-SCと比較して、P(2HB)のホモ-SCの結晶格子の面間隔は増大した。P(S-2HB)およびP(R-2HB)は、PLLAおよびPDLAよりも疎水性であり、加水分解速度が低いため、より加水分解耐性の高い生分解性ポリエステル材料の作製の可能性を示唆している。 PDLAのメチル基がエチル基に置換したP(R-2HB)を、PLLAおよびPDLAとブレンドし、ヘテロ-SC形成の可否をWAXSおよびDSCにより、検討した。その結果、PLLAおよびPDLAの場合と同様に、溶液結晶化においても、溶融結晶化においてもヘテロ-SC形成が確認された。ヘテロ-SCのT_mは、PDLAよりも5-17℃高くなり、ヘテロ-SCの結晶面間隔は、PLLAのホモ-SCおよびP(2HB)のホモ-SCの中間の値となった、本研究は、生分解性高分子としては、世界で初めての研究報告であり、両ポリマーの組み合わせを変えることにより、多種多様の物性と分解性を有する生分解性高分子材料の作製が可能であることを示唆している。
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