ハイドロキシアパタイト(HAp)セラミックスの生体親和性に関してこれまで数多く報告されているが、セラミックス(焼結体)であるためにHAp結晶の方位や面がランダムであり、結晶の性質と特性との関係を正確に表わしていない。当該研究では、独自に開発したナノHAp複合化材料の表面特性(ナノHApの形状・サイズおよび表面被覆率)と当該新材料に接着した細胞の機能性を明らかにすることを目的とした。平成21年度(最終年度)では、細胞とナノHAp複合化材料間の接着状態の視覚的評価、および細胞材料間の接着性タンパク質の挙動について検討し、当該材料の細胞接着性および細胞機能発現に係る特性を明らかにする。 (1)細胞/ナノ複合材料断面を透過型電子顕微鏡(TEM)観察し、細胞がナノ構造にアンカリングする状態で強固に結合している様子が観察された。 (2)ナノ複合体シートと対照となるポリエチレンテレフタレート(PET)シート上での細胞外マトリックスの生成状態を共焦点レーザー顕微鏡にて観察し、ナノ複合体ではフィブロネクチンの産生が豊富であり、安定接着を示すことが明らかとなった。 (3)これまでの一連の研究により、ナノ複合体表面上における細胞の安定接着は、HAp単結晶によるナノ構造の凹凸(ナノトポロジー)と細胞外マトリックスを早期に形成すること因ると考えられた
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