研究課題
昨年度までの検討で定めた撮像条件と解析設定を用い、臨床例における頸動脈の2次元スペックルトラッキング(2DST)法による分析を進めた。虚血性脳血管患者100例の頸動脈200側において、長軸像遠位壁の壁厚および長軸方向のSt値および拡張末期からピークStまでの時間(TP)を計測し、その成功率や再現性を評価するとともに、これらの計測値とプラークや壁輝度上昇の有無とがどう関係するかを検討した。全1000区域中885区域でトラッキングが成功し、壁厚方向のstと長軸方向のStおよびTPは、再現性よく計測できた。壁厚方向St絶対値は、プラーク区域で非プラーク区域より有意に小(p<0.0001)であり、また、長軸方向Stは壁輝度上昇区域でそれがない区域より有意に低下(p<0.05)していた。総頸動脈遠位壁では、2DST法による歪み分析により壁伸展性の評価が可能であり、またこの方法で、一般にプラーク部位にみられる壁伸展性の低下を捉えることができると考えられた。これと平行して、頸動脈内膜剥離術(CEA)患者(30例)でのエコーによるプラーク異常運動の視覚的評価の検討も進めた。手術時所見との比較に基づき、プラークの拍動性異常運動がある例では、それがない例に比し、プラーク破裂/潰瘍(73%対32%、p<0.05)やプラーク内出血(100%対53%、p=0.01)が有意に多く、壊死(82%対63%)も前者に多い傾向がみられた。プラーク異常運動が、プラークの破綻/易破綻性の指標として有用である可能性を示す成績と考えられた。
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J of Echocardiogr. 7
ページ: 25-33