研究概要 |
光干渉断層計(以下OCT)は生体組織の断層像を高解像度で撮影することができる検査機器である。眼科用OCTは1998年に最初にカールツァイス社により発売されて以降第3世代まで発売され、世代を経るごとに解像度、診断能力は向上し続けている。解像度向上は微細な構造変化の検出力を向上させるためにOCTにおいては最も重要な要素であり、開発競争はますます激しくなっている。解像度向上により網膜内微細構造の可視化されるようになり、本装置により診断可能な疾患の幅は広がり続けている。 このOCTの解像度向上に最も重要な要素は光源のスペクトル特性である。本プロジェクトは、最近分担研究者西澤らの研究により開発された非常に平坦でなめらかなスペクトル形状、低雑音・高いコヒーレンス、良質な光周波数コム、極めて広いスペクトル帯域という極めて優れた特性をもつ光源を用いて第4世代と言える超高解像度OCTの試作、および実用化へ向けた評価を行うことを目的とする。平成19年度では、まず,分散の影響を外部補償したTi: Saphireレーザーとコア径の細い単一モードファイバを用いて,高強度でガウス型の形状を持つ,中心波長830nm,半値全幅110nmの眼底観察用高精度スーパーコンティニューム光の生成に成功した.更に,この高精度SC光を眼底観察用OCTに用い,光学系の分散補償や各種光学部品の広帯域化を図ることで,空気中で6.8μm,生体中で4.5μmの超高分解能な干渉波形を確認することに成功した.現在,このシステムを用いて,眼底の断層イメージの取得を試みている.今後ある程度の画像が安全に得られるようになれば、正常者などにて画像評価を行なっていく予定である。
|