本研究の目的は、新生児頭部エコー動画像をターゲットとし、動脈血流に伴う組織の周期的な動きを選択的に抽出し、三次元投影表示することによって、超音波診断に特有な「プローブの走査手技」と「組織動きの読影」をリアルタイムに支援する、新しい概念の動画像診断支援手法を実現することにある。具体的には、新生児頭部超音波エコー動画像(二次元断層画像)を、超音波プローブに取り付けた姿勢センサー情報と共にディジタイズし、動脈血流に伴う組織の周期的な動きを選択的に抽出して三次元投影表示するシステムを試作する。本システムは、(1)超音波プローブに付加する姿勢センサー、(2)エコー動画像をビデオレートで非圧縮記録するディジタイザ、(3)組織動き抽出プロセッサ、(4)三次元投影表示モジュールの4要素から構成される。本年度は、全要素の詳細設計と(1)(2)(3)の製作を行った。その結果、新生児頭部エコー動画像(二次元断層画像)から、動脈血流に伴う組織の周期的な動きのリアルタイム抽出(VGAサイズで10fps以上)を初めて実現できた。本年度の研究成果は、三次元表示すべき組織がリアルタイムに特定できたという点で意義があり、次年度製作予定の(4)三次元投影表示モジュールに必要な入力が十分なレートで得られたという点で重要な研究成果である。本研究成果は医用画像に関する国際会議SPIE Medical Imaging 2008において口頭講演に採択された。また、医用画像情報学会、未熟児新生児学会の国内学会においても成果発表を行った。
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