本研究の目的は、新生児頭部エコー動画像をターゲットとし、動脈血流に伴う組織の周期的な動きを選択的に抽出し、三次元投影表示することによって、超音波診断に特有な「プローブの走査手技」と「組織動きの読影」をリアルタイムに支援する、新しい概念の動画像診断支援手法を実現することにある。具体的には、新生児頭部超音波エコー動画像(二次元断層画像)を、超音波プローブに取り付けた姿勢センサー情報と共にディジタイズし、動脈血流に伴う組織の周期的な動きを選択的に抽出して三次元投影表示するシステムを試作する。本システムは、(1)超音波プローブに付加する姿勢センサー、(2)エコー動画像をビデオレートで非圧縮記録するディジタイザ、(3)組織動き抽出プロセッサ、(4)三次元投影表示モジュールの4要素から構成される。昨年度までに(1)〜(3)の試作が終了しているが、本年度は新たに(4)を製作した。具体的には、エコー原画像上に組織動き抽出結果をカラー重畳した2次元画像を、3次元空間の任意の位置に投影表示する機能を実装した。その結果、動脈拍動の三次元構造を明瞭に可視化できた。本研究成果について、医用画像に関する国際会議SPIE Medical Imaging 2009においてポスター発表を行った。また、試作済みモジュール(1)〜(3)のみの二次元システムについて、ユーザインターフェースのNICU向け最適化も行った。その結果、NICUで医師がプローブを徒手保持した状態でも使用可能であることを確認できた。本研究成果は、医用画像情報学会、未熟児新生児学会の国内学会において発表を行った。
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