現在、難病として世界中で研究されているアルツハイマー病の原因は脳内のAβという蛋白の蓄積であることが考えられている。我々は超音波とマイクロバブルを併用した遺伝子導入方法を用いてこの病気を治療する手法を開発している。 具体的にラットの脳内にAβ蛋白を挿入し、その後どのような程度で神経障害が発生するか検討した上で、神経保護効果および血管新生作用のある肝細胞増殖因子(HGF)を頚髄よりHGFプラスミドに超音波とマイクロバブルを併用することによって神経細胞にHGFを導入し、分泌したHGFによる効果でAβが惹起する神経障害の程度を評価している。 1、HGF遺伝子導入後の髄液中のHGF蛋白の上昇を確認した。 2、さらにAβを脳内に導入した後にHGF遺伝子を導入し、その後の神経障害の程度を評価している。 3、Water finding taskおよびY字迷路テストにて、HGF遺伝子導入群は、コントロールプラスミド導入群と比して、有意に神経障害が軽減されていた。 4、HGFによる抗酸化ストレス作用などの神経保護作用に加えて血管新生作用からくるAβの血管内へのクリアランス作用が神経症改善作用の機序として考えられた。 また同様に炎症性腸疾患である、クローン病モデルへ炎症の中心的役割を演じているNF-kbデコイという核酸を導入することによる治療実験も行っている。 1、NF-kbデコにFITCでラベルし、腸のどの部位に導入されているが観察したところ、NF-kbデコを単独で投与しても表面にしか導入されなかった。 2、しかし、超音波とマイクロバブルを併用することによりNF-kbデコが腸のより深層に到達していた。
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