研究課題/領域番号 |
19500421
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
富山 憲幸 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (50294070)
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研究分担者 |
本多 修 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (80324755)
小縣 裕二 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60281127)
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キーワード | 胸部CT / バイオマーカー / 肺リモデリング / 画像解析 |
研究概要 |
今回の研究の目的は、CT像からの肺局所の体積と同部の気管支内腔体積の計測を基に肺のリモデリングを定量化するバイオマーカーを導出することであるが、まず肺区域体積計測ソフトの開発に着手した。方法としては、3Dワークステーションの肺segmentation機能を用いて肺のみの3D像を抽出し、次に葉間裂を面成分と協調するsheet filterを用いて抽出後、閾値処理・ラベリング処理でノイズを除去し、葉間裂の欠落はThin Plate Spline法で補間した。肺区域間には亜区域静脈が走行しているので、各亜区域静脈が作る面を境界面とすることにより精度を高めた。亜区域静脈は血管抽出機能を用いて抽出した。右下葉、左上葉、左下葉では3次元ベクトルの原理より2本の亜区域静脈より1枚の境界面を決定し、右上葉ではThin Plate Spline法にて4本の亜区域静脈から2枚の境界面を作成した。続いて、肺区域体積と同区域内の気管支内腔体積を計測するシステムの開発を行った。こちらは、可変的閾値処理による気管支抽出し、気管支を抽出する分岐点探索アルゴリズムを実装した。これらのソフトを用いた計算結果と臨床所見及び肺機能検査所見との相関解析を行ったところ、閉塞性肺疾患ではリモデリングの進行とともに、気管支内腔の体積と局所肺体積の増加し、一方間質性肺炎群ではリモデリングの進行とともに、気管支内腔の体積と局所肺体積の減少が生じることが判明した。現在COPDや喘息を始めとする閉塞性肺疾患及び、急性・慢性の間質性肺炎に対して続々と新薬の開発が進んでいるが、この研究の結果を通じて、新薬の薬効評価のエンドポイント等各種臨床試験、実臨床にて利用可能なrobustな肺のリモデリングを定量化するバイオマーカーとなり得る可能性が示唆された。
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