研究概要 |
本研究は,腹腔内内視鏡手術のための訓練用マスタスレーブ型シミュレータの開発として,経験豊富な医師が操作する鉗子の動作,ならびに鉗子が把持する力や開いたときの臓器に接触する力の加え方を複数の生徒側に同時に鉗子の動きと力覚の提示をそのまま伝えるシステムの構築を目的とする.平成19年度は,右手用として教師側のマスタシミュレータとスレーブシミュレータの設計製作,制御系の構築を行い動作評価した.平成20年度は,平成19年度の動作評価から,使いやすさと小型化を目的に右手用マスタスレーブシミュレータの改良と制御系で振動が発生した部分の改良を行った.改良後の動作評価では人が感知可能な範囲の遅れ時間であることを確認した.ただし,鉗子の開閉動作は力覚提示デバイスの関係から動作はできない状態にある.また,左手側のマスタスレーブシミュレータの設計製作を行った.現在は最終的な組立を実施中で,今後は両手による動作実験.評価を行う.鉗子が臓器を把持する力と鉗子が開いたときの臓器に接触する力を測定でき,さらに,臓器を押し付ける力も同時に測定できる力覚提示鉗子の開発では,分解可能な使い捨て鉗子を用い,シミュレータ搭載可能で開閉力と押しつけ力を同時に計測できるひずみゲージ式によるデバイスを製作し,力計測実験を行った.この力覚提示鉗子はシンプルな構造で,重量増加も少なく,実際の内視鏡外科手術にも使用できるとものと考えられることから,シミュレータ搭載だけではなく,実際の内視鏡外科手術に使用できるタイプの開発も予定している.力覚提示可能な画像訓練装置は,すでに多くの市販品があり九州大学病院内視鏡トレーニングセンターでも使用されている.このため,鉗子の開閉力と押し付け力を表示し,生徒に危険を知らせるユーザーインターフェースを作成することとした.
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