研究課題
目的は機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)を用いて、背損者の脳運動関連領野について調査し、脊髄再生医療開始後のリハビリテーションの指針を得ることにある。まずデータ解析の参考とするため筋電義手装着者の脳活動についてfMRIで解析し、運動感覚野の機能的変化を明らかにした。次に以下の実験を行った。対象は健常者10名(健常群)と慢性期脊髄損傷完全対麻痺患者10名(脊損群)とし、スクリーン上の映像に従い課題を行い、fMRIで脳活動を測定した。課題1. 手指、足趾の単純繰り返し運動における運動関連領野賦活の相違。手指運動時の脳活動は、両群とも手指に相当する運動野が著しく賦活した。しかし、足趾運動時は、健常群と比較し脊損群の足趾に相当する運動野は低下し補足運動野の活動が増加した。課題2. 手指、足趾の一人称イメージを模倣した時の運動関連領野賦活の相違。足趾の運動を凝視した場合、健常群は下頭前回のミラーニューロンの活動が増加したが、脊損群は活動しなかった。手指運動をイメージした場合、健常群はワーキングメモリーの活動が増加したが、脊損群は活動しなかった。課題3. 手指、足趾のタイミングを推論する運動での運動関連領野賦活の相違。足趾運動では、脊損群は帯状回運動野の活動が増加したが、健常群は少なかった。また、課題2〜3で脊損者の足趾運動野の活動が低下していた。全課題を通し、脊損群の足趾運動野の活動低下を認めた。また、脊損者は足趾の認知に関し障害を持つ可能性があり、障害を持たないはずの手指の運動に関しても何らかの影響があることがわかった。一方、脊損群は課題1で補足運動野の活動が増加し、課題3で帯状回運動野が賦活した。したがって、脊損群にとってこれら運動を組み合わせ、足趾の身体イメージと運動関連領野を温存することが必要である。これは重要な知見であり、今後治療プログラムの作成の指針と成り得る。
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International Journal of Factory Automation, Robotics and Soft Computing 1
ページ: 74-83