本研究の当初計画では、磁気式モーションキャプチャシステムの超薄膜磁界センサなどセンサシステムの開発に約3か月、磁気マーカの開発に約4ヶ月の期間を予定していた。しかしその後、現状の磁気マーカと同等の性能を維持しつつ、さらに小型化したものを開発できる技術的な目途がつくことが判明した。本研究の目的である嚥下における舌骨や喉頭蓋などの3次元的な動きの把握と複雑な協調運動の解明ということを達成するためには磁気マーカを生体内に埋人して嚥下に関わる各器官の動きを計測するため、埋入するマーカはより小型であるほうが生体内の各器官の本来の動きを妨げる可能性も小さく、周囲組織の炎症など為害作用が発生する危険性も少ない。そのため今回、マーカの開発の期間を約7ヶ月に延長し、19年度の予算の一部を20年度に繰越して最新技術を用いてより為害作用が少なく精度の高いデータを採取することができるように、新しいスペックでのマーカ開発を行った。また生体内に埋入して使用するマーカである以上、材質も一定期間生体内に埋入することによる周囲組織への影響等を考慮し、極力腐食のおこりにくい材質にしなければならない。生体内環境での使用という点を考慮して材質は基板にガラスエポキシを使用し、コイルは銅100%としてレジストにエポキシ系樹脂を使用した。その結果、上記の材質で繰越分の予算によって当初計画よりもさらに小型化された6ミリ×6ミリで厚さ1ミリのマーカ18個を製作した。
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