研究課題/領域番号 |
19500446
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
前島 洋 広島大学, 大学院・保健学研究科, 助教 (60314746)
|
研究分担者 |
飛松 好子 広島大学, 大学院・保健学研究科, 教授 (20172174)
木下 英司 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80304418)
|
キーワード | 運動 / シナプス / NMDA受容体 / 神経栄養因子 / 高齢者 / ラット / リン酸化 / 可塑性 |
研究概要 |
本年度は、ラットの走行運動が脳内NMDA受容体を取り巻くシナプス増強に与える影響について同定するための生化学的実験手技を確立した。シナプス増強の生化学的指標として、ラット脳皮質および海馬におけるNMDA受容体のNR2サブユニット(NR2AおよびNR2B)のリン酸化により、PSD-95等の後シナプス膜蛋白との相互作用を増強し、チャンネル活性が促進されると考えられた。そこで、採取した脳皮質・海馬組織を破砕してサンプルとし、NMDA受容体およびこれと相互作用する結合蛋白を精製し、この精製サンプルに対して電気泳動・western blottingを行い、これをチロシン-リン酸化抗体によりプローブしてチロシンリン酸化を定量した。更にNR2A、NR2B抗体により再プローブすることにより、NR2サブユニットのリン酸化程度を定量するに至った。同様に抗PSD-95抗体のプローブの後、NR2抗体により再プローブすることによりNR2サブユニットとPSD-95の相互作用の程度を同定するに至った。当初、脳組織破砕後のサンプルにおいてNMDA受容体の溶液への可溶が難しく、免疫沈降を目的とする遠沈の上澄からの採取と抗体反応における同定が困難であった。そこで界面活性剤の調整と従来の破砕の後、超音波振動破砕を加えることにより、NMDA受容体の溶液中へ溶解を確認するに至った。現在、走行ラットとそのコントロール群を対象に同上の実験手法に従い、走行によるNMDA受容体を取り巻くシナプス増強の定量化を進めている。
|