研究概要 |
乳児の生活音響を収集するためにSAM(実音場録音評価システム)自体の評価を行った。乳幼児の生活環境音を防音室内で再生し,SAMを接続したコンピュータによりSAMの分析能力を評価した。この結果,音圧について本研究に必要な正確さで表示できること,さらにノイズのみ,音声のみ,ノイズ+音声と言った環境分析機能についても必要な能力を持っていることが明らかになった。また同時に本研究に使用する乳児の生活環境音の録音を済ませることができた。 乳児へのデジタル補聴器適合の上では、閾値上の増幅特性の評価が必要である。インサートイヤホンによって測定された聴覚閾値(dBHL)を音響カプラ内音圧レベル(2ccdBSPL)へ換算させる手法が考案され、乳児23名に適用された。本手法により、乳児におけるノンリニア補聴器の閾値上の出力特性が評価可能となった。 乳児の小さな外耳道容積が補聴器の特性に与える影響値を把握するための基礎的検討を行った。成人1名を対象に、音響条件を変えた2種のイヤモールドを用いて「カプラ利得+RECD(実耳-カプラ差)+MLE(マイクロホンの位置による影響値)=REAG(外耳道内の補聴器の利得)」となるか推定法を検討した。RECD値の測定精度が利得推定に影響することが示された。
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