本年度は二ヵ年計画の二年目であり、脳血管障害者の自動車運転の可否を決める要因を実験調査するための臨床実験を実施した。 (1)昨年度の結果をもとに、パソコン操作に専門的知識の不要になるような使いやすいユーザーインターフェースの再調整を行った。また、ドライビングシミュレータと同時に使用する上肢機能検査用の装置(ハプティックリハブシステム)に関する基礎調査を実施した。(H20年4月〜6月) (2)臨床協力施設と最終的な連絡調整を実施し、対象者の公募を実施し、一般成人および片麻痺患者のデータを収集した。(7月〜12月)一般成人は、首都大学東京荒川キャンパス内で取得、片麻痺患者は、大久野病院等、協力施設において取得した。 (3)ドライビングシミュレータの測定結果を解析、分析した。(H20年10月〜現在) 一般成人は、60歳を境として個人差が大きくなる傾向が認められた。脳血管障害による右麻痺の患者は、反応速度は一般成人とほぼ同じ程度からやや遅い傾向があるが成績が正確であり、左麻痺患者は、速度は一般成人とほぼ同じ程度からやや速めであったがミスが多い傾向が認められた。対象者は、実車評価まで至らない事例が多く研究内容に一部変更を加えざるを得なかった。その理由は、状態が不安定なために医師の判断により中止としたため、あるいは患者本人・家族が不安を訴えたため、等の理由によった。運転を不可能にしている要因を被験者の数から統計的に2力年で明確にすることは出来ないと判断し、装置を活用した測定データ収集およびその他の検査結果など他のデータとの相関に照準をあわせて研究を進め、論文投稿準備中である。データの蓄積は次年度以降も継続したい。
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