[研究目的]廃用症候群のリスク因子とトリガー要因を解明し、廃用徴候と組み合わせて廃用症候群の診断基準を作成する。[対象選択基準]当大学病院でリハ医が主観的/総合的に廃用症候群と診断してリハ機能訓練を処方した入院患者。2006年6月から2007年3月までの連続149症例のうち本研究の説明と同意を得た129例。[研究方法]診療録からリスク因子(11項目)、廃用トリガー、主トリガー後要因(10項目)、廃用徴候(10分野)、その他(栄養状態など)を抽出し、因子分析、重回帰分析(従属変数:リハ医の判定による廃用障害度)を実施した。次いで、41名のリハ科専任医師を対象として、廃用リスク因子11項目×各3水準のconjoint分析を行い、廃用リスク度に対して各因子の重要度を算出した。[結果]入院時主病名は悪性腫瘍22%、循環器疾患18%、神経疾患12%、精神疾患11%、呼吸器疾患10%、消化器疾患10%などであった。廃用の主トリガーは急性傷病65%、亜急性疾患22%、慢性疾患14%であった。リハ医の診断で廃用疑い2%(平均61.3歳)、軽度廃用37%(平均68.2歳)、中度廃用45%(平均67.9歳)、重度廃用16%(平均69.5歳)であった。因子分析では11因子が抽出できた。廃用リスク11因子の重要度値(Conjoint分析)では、歩行障害・悪性腫瘍・呼吸不全・心不全・知的障害の重要度が高かった。独立変数を廃用リスク度点数・廃用トリガー数・トリガー後要因点数・廃用徴候点数・初診時Barthel指数などとした重回帰分析では、全14項目の決定係数0.503であったが、急性傷病トリガー82例では決定係数0.607、亜急性と慢性疾患トリガー47例では決定係数0.618となった。[考察]廃用リスク度、廃用トリガー、主トリガー後要因、廃用徴候などにより廃用症候群の障害度を診断できると考えられた。
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