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2009 年度 実績報告書

fMRIとトラクトグラフィーを用いた脳卒中後の大脳運動ネットワーク再構築の研究

研究課題

研究課題/領域番号 19500458
研究機関国際医療福祉大学

研究代表者

加藤 宏之  国際医療福祉大学, 大学病院, 教授 (60224531)

キーワード脳神経疾患 / リハビリテーション / 脳卒中 / 脳機能画像診断 / 片麻痺 / fMRI
研究概要

脳卒中後の運動機能(片麻痺)の回復は、大脳の運動ネットワークの機能代償や再構築、学習による新しい神経ネットワークの形成(可塑性)によってもたらされると考えられている。このような脳卒中後の脳に起こる生理学的、解剖学的な動的変化を計測、画像化し、脳卒中後の運動機能回復の機序を解明するために、われわれは、functional MRI (fMRI)と、MRIの拡散テンソル・トラクトグラフィー(DTT)による錐体路(皮質脊髄路)の描出の同時計測を行ない追跡した。脳卒中後の患者が麻痺手を運動する際に活動する脳の領域は、正常人が手を運動する時に活動する脳領域と大きく異なる。最も重要な運動経路である一次運動野あるいは錐体路の機能が障害されると、それを補うために、神経連絡を持った両側の運動ネットワークが代償的に動員されて、広範に活動するのが観察される。脳卒中後に見られる運動ネットワークの活動の変化には、(1) 対側運動野の機能の回復、(2) 対側運動野の活動領域の拡大、(3) 同側運動野の活性化、(4) 二次運動野の活動の拡大、などがある。脳卒中後の脳機能の再構築は動的な変化であり、片麻痺の回復は、既存の運動ネットワークの損傷の程度に応じて、可逆性障害からの回復に加えて、大脳運動ネットワークの代償、動員、さらに、その再構築を駆使して最良の運動機能の回復を得るために可塑性を引き出す機構が存在すると考えられる。このような脳活動の変化は、脳卒中発症後の1ないし2か月以内に最も強く認められ、脳卒中後の機能回復の臨界期が存在することを示唆している。運動ネットワークの再構築と運動機能の回復の関連についての研究は、脳卒中リハビリテーションの科学的基盤を提供する重要な研究課題であると考えられる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] 画像で見る脳の再構築2009

    • 著者名/発表者名
      加藤宏之, 武田湖太郎
    • 雑誌名

      総合リハ 37

      ページ: 699-704

  • [雑誌論文] NIRSを用いた脳機能評価2009

    • 著者名/発表者名
      武田湖太郎, 加藤宏之
    • 雑誌名

      Clinical Neuroscience 27

      ページ: 1055-1057

  • [学会発表] 健常者および脳卒中片麻痺患者における手の心的回転課題遂行時の脳活動―近赤外分光法による検討―2009

    • 著者名/発表者名
      下田信明, 武田湖太郎, 加藤宏之
    • 学会等名
      第16回医用近赤外線分光法研究会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2009-10-30
  • [学会発表] False positive/negative hemoglobin signal of near-infrared specteoscopy2009

    • 著者名/発表者名
      Takeda K, Osu R, Otaka Y, Kato H
    • 学会等名
      Neuroscience 2009
    • 発表場所
      Chicago, USA
    • 年月日
      2009-10-21
  • [学会発表] Motor imagery in mental rotation of hands in left- and right-handers : A behavioral and near-infrared spectroscopy study2009

    • 著者名/発表者名
      下田信明, 武田湖太郎, 加藤宏之
    • 学会等名
      Neuroscience 2009
    • 発表場所
      Chicago, USA
    • 年月日
      2009-10-19
  • [学会発表] 手の心的回転―提示角度と反応時間の検討―2009

    • 著者名/発表者名
      武田湖太郎, 下田信明, 佐藤裕, 加藤宏之
    • 学会等名
      第14回認知神経科学会学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2009-07-26
  • [学会発表] 手の心的回転―近赤外分光法による脳活動の検討―2009

    • 著者名/発表者名
      下田信明, 武田湖太郎, 加藤宏之
    • 学会等名
      第14回認知神経科学会学術集会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2009-07-26
  • [学会発表] NIRSを用いた脳卒中後の片麻痺の回復と脳機能再構築の検討2009

    • 著者名/発表者名
      加藤宏之, 武田湖太郎, 橋本律夫, 下田信明, 今井樹
    • 学会等名
      第50回日本神経学会総会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2009-05-20

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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