日本語話者におけるRAN検査適応の機序を明らかにするために、就学前6歳児のRAN成績が、就学後における日本語話者の読み困難児を予測する可能性と限界について検討した。また、就学前6歳児と就学後の定型発達児および発達性ディスレクシア児を対象として、RAN刺激単独呈示による呼称までの反応潜時と/pataka/反復交互運動を測定しRANの発語運動面への影響と音韻処理(音韻計算)の自動性について検討した。その結果、就学前6歳児のRAN成績は低学年の漢字読み困難児を鑑別し小学3年生の読み困難児を最大83%の確率で予測した。小学校低学年における読み障害のリスク児を高い確率で予測できる理由として、発語運動面の問題として/pataka/による反復交互運動の成績とRAN成績との関係を重回帰分析から検討したところ、発語運動ではRAN成績が説明できなかった。一方、自動性の強さから解析を行うとRANはことばの自動性を反映することが示唆された。
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