研究概要 |
【目的】蛋白同化ホルモン(AS)投与と筋力増強訓練の併用で筋力が増加したという報告があるが,低活動の患者では筋力増強訓練が行いにくい。今回我々は,脳卒中患者の通常訓練にAS投与および治療的電気刺激(TES)を併用し,筋力増強効果を検討した。 【対象】AS+TES群は,2007年10月から12月に当院回復期リハビリ病棟に入院した脳卒中片麻痺患者中,同意を得られた4例(男性3例,女性1例,脳出血4例)とした。対照は,2004年10月から2006年4月に当院へ入院しAS投与した片麻痺患者21例(男性16例,女性5例,脳出血12例,脳梗塞9例)とした(AS群)。重度の感覚障害,失語,糖尿病,肝障害症例はあらかじめ除外した。 【方法】全例FIT(Full-time Integrated Treatment)プログラムに加え,エナント酸メテロノン100mgを週1回計6週筋肉注射した。さらに,AS+TES群には,両側大腿四頭筋にTES(20Hz,耐えうる最大刺激で10分間,週5回)を行った。バイオデックスで非麻痺側膝の伸展筋力(角速度60°/秒,体重あたりの%)を毎週測定し,両群の筋力増強効果を検討した。 【結果】週毎の筋力の平均増加率は,AS+TES群では,0.25,0.47,0.50,0.75であった。また,AS群は,0.05,0.14,0.21,0.23であった。 【考察】今回は予備的研究であり,十分な統計学的解析ができなかったが,AS+TES群では,筋力増加率が大きい傾向があり,より筋力増強が得られる可能性が示唆された。今後は例数を増やし,効率的なAS投与および電気刺激法の検討を行う予定である。
|