研究概要 |
【目的】今回我々は,脳卒中患者の通常訓練にAS投与および治療的電気刺激(TES)を施行し,麻痺側下肢筋断面積の変化を検討した。 【対象】AS+TES群は,2007年10月から2008年11月に当院回復期リハビリ病棟に入院した脳卒中片麻痺患者中,同意を得られた6例。AS群は,2004年10月から2008年11月に当院へ入院した片麻痺患者14例, TES群は2008年11月に入院した片麻痺患者2例とした。対照群は,2005年10月から2008年10月に入院した片麻痺患者11例とした(CT群)。重度の感覚障害,失語,糖尿病,肝障害症例はあらかじめ除外した。 【方法】全例FIT(Full-time Integrated Treatment)プログラムを行った。AS群には,エナント酸メテロノン100mgを週1回計6週筋肉注射した。TES群には,両側大腿四頭筋にTES(20Hz,耐えうる最大刺激で10分間,週5回)を行った。AS+TES群は, AS投与とTESを併用した。全例大腿長中点における筋断面積をCTにて2週毎に計測し,各群における変化を検討した。 【結果】2週毎の麻痺側筋断面積の平均増加率は, AS+TES群で,0.049,0.098,0.105, AS群で,0.030,0.045,0.080, TES群で,0.023,0.062,0.062,CT群で,-0.002,0.017,0.006であった。群間で有意差はなかった。 【考察】今回有意差はなかったが, AS+TES群では最も筋断面積増加率が大きい傾向があり,より筋力増強が得られる可能性が示唆された。
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