研究課題/領域番号 |
19500466
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
青柳 陽一郎 川崎医科大学, 医学部, 講師 (30286661)
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研究分担者 |
山本 敏泰 岡山理科大学, 工学部, 教授 (20412158)
椿原 彰夫 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10138117)
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キーワード | 摂食・嚥下障害 / A型ボツリヌス毒素 / 機能的電気刺激 / 輪状咽頭筋 |
研究概要 |
輪状咽頭筋の弛緩不全および不十分な喉頭挙上がしばしば咽頭期の嚥下障害の原因となる。弛緩不全状態にある輪状咽頭筋に対しては、A型ボツリヌス毒素を注入し食道流入を改善する方法を試みた。適応基準は、(1)輪状咽頭筋弛緩不全を主原因とする嚥下障害を有し、(2)従来の嚥下訓練やバルーン拡張法を3ケ月以上行っても改善がみられず、(3)経口摂取に対する意懲が強い患者とした。輪状咽頭筋弛緩不全の判定は、嚥下造影検査(VF)、輪状咽頭筋針筋電図検査、輪状咽頭筋ブロック(1%リドカインを使用)などを用いておこなった。これまでに15名の嚥下障害患者に対して輪状咽頭筋ブロックを行った。VFにて9名において輪状咽頭筋ブロックで食道入口部の開大が得られ通過障害が改善したため、同部位にA型ボツリヌス毒素を注入した。ボツリヌス毒素注入を行った9名はいずれも注入前は胃痩もしくは経管栄養にて栄養摂取を行っていたが、6名で全量経口摂取が可能になった。他の3名においても部分的な経口摂取が可能になった。ボツリヌス毒素注入前後において副作用は認めなかった。以上より、ボツリヌス毒素注入療法は、輪状咽頭筋弛緩不全患者に対して有力な治療法であることが示唆された。平成20年度も症例数を増やし、またVFの画像解析を加えて検討を行う予定である。 喉頭挙上再建を目的とした機能的電気刺激を健常成人5名で初期的検討を行った。電気刺激装置(8chFESII)を用い、両側舌骨周囲筋腹上の皮膚表面に刺激電極を貼付して喉頭挙上を誘発した。結果は、通常の嚥下動作と比較して、約65%の甲状軟骨の挙上が得られ、嚥下動作を補助するための機能的電気刺激の有用性が示唆された。
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