研究課題
基盤研究(C)
(1)ボツリヌス毒素注入療法 嚥下訓練を3ヶ月以上行っても改善に乏しい輪状咽頭筋弛緩不全患者に対して、A型ボツリヌス毒素を注入し食道流入を改善する方法を試みた。輪状咽頭筋弛緩不全の判定は、嚥下造影検査(VF)、輪状咽頭筋針筋電図検査、輪状咽頭筋ブロック(1%リドカインを使用)を用いた。これまでに計20名の嚥下障害患者に対して輪状咽頭筋ブロックを行った。VFにて20名中12名において輪状咽頭筋ブロックで食道入口部の開大が得られ通過障害が改善したため、同部位にA型ボツリヌス毒素を注入した。ボツリヌス毒素注入を行った12名はいずれも注入前は胃瘻もしくは経管栄養にて栄養摂取されていたが、8名で全量経口摂取が可能になった。他の4名においても部分的な経口摂取が可能になった。ボツリヌス毒素注入前後および経過観察期間において副作用は認めなかった。ボツリヌス毒素注入療法は、輪状咽頭筋弛緩不全患者に対して有力な治療法であることが示唆された(2)電気刺激による嚥下機能改善 喉頭挙上再建を目的とした機能的電気刺激を健常成人5名で初期的検討を行った。両側舌骨周囲筋腹上の皮膚表面に刺激電極を貼付して喉頭挙上を誘発した。結果は、通常の嚥下動作と比較して、約65%の甲状軟骨の挙上が得られ、嚥下動作を補助するための機能的電気刺激の有用性が示唆された。 また嚥下障害患者2名に対して、喉頭挙上の改善を目的とした治療的電気刺激に関する初期的検討を行った。両側舌骨周囲筋腹上の皮膚表面に刺激電極を貼付して1日15分2週間の電気刺激を行った。結果は、2名ともVFでの嚥下動態の改善はみられたものの、嚥下圧、表面筋電図における評価では変化がなかった。今後、症例を重ねて検討する必要がある。
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Current Research in Motor Control III (AWF Katowice, Katowice, Poland)
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