研究概要 |
インテリジェント手すりの移動軌跡を検討する目的で,独力で起立不可のパーキンソン患者の起立動作の分析を行なった. 分析対象はパーキンソン病群,対象健常若年群とした. この結果,椅子座位から手すりを把持し起立動作を開始する瞬間,パーキンソン患者では十分な前方への速度だが得られないまま,立ち上がろうとしており,起立動作のタイミングが原因となり起立に失敗していると考えられた.また重心にかかる力のベクトルが健常者成人に比較し床面に対する角度が大きく,力の大きさも拡大することが示された.健常者の起立動作では重心をあらかじめ前方へ移動させ曲線的に上方へ転じることが知られている.このことに対してパーキンソン群では起立初期から直線的に上方へ向かおうとする傾向が示されたと考えられる.またこの角度が起立時の負荷を増大させていることが示唆された. 以上からインテリジェント手すりは起立動作初期の体重心の前方移動において動作をアシストする必要性が確認された. 試作機の改良に関しては,上記手すりの移動制御をプログラム化するとともに.動作開始時の使用者の起立動作とレーザーファインダーを利用した姿勢判別システムを開発し試行の段階に入った.
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