これまでに開発した能動下腿義足を用いて実際の義足装着者による評価を受けた結果、歩行支援としては有効であるとの結論を得た。しかしこの制御方式は義足に装着した接地センサの状態のみで足関節の角度調節を行うので健常足の動きとは独立したものになる。そこで本研究では能動下腿義足と健常足との調和のある歩行の実現のために健常足の大腿部及び下腿部からの表面筋電図および足の加速度や足関節角度などの各種の情報を計測処理し、最適なタイミングでの電磁バルブ開閉をファジイ制御により実現すると同時に、連続歩行の過程でより円滑な健常足との協調的な動きを実現するための最適な制御パターンをニューラルネットワークモデルの学習によって構築する手法を追求した。そこで今年度は足の動きを同時測定できる治具を開発して健常者の片足に装着し、トレッドミル上を歩行したときの測定治具を装着した足の反対側の大腿部及び下腿部からの製作した4チャンネルの筋電計(dsPIC30F3013)で表面筋電図データ、足関節角度、膝部の加速度、足先の角度の各データを収集した。ニューラルネットワークモデルにはdsPIC30F5011を採用し、3入力(膝部の加速度、足先の角度、接地センサの状態)1出力(足関節角度)および中間層の3層構造で教師信号を実際の足関節角度とした誤差逆伝搬の逐次修正法により、お最大の学習回数を1000回および誤差2%以内になったら学習を打ち切る制約を付けて学習させた。その結果1秒間あたり約8回の学習が可能となった。またPIC16F876によるファジイ制御プログラムをアセンブリ言語で構築し、出力としての足関節角度と実際に測定した足関節角度に対する追従特性を調べ、基本的にはファジイ制御が適用可能であることを示した。
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