本研究は、幼児および小学生児童における筋の量および機能、ならびに運動能力における性・年齢の影響を捉えると同時に、それらに日常生活中の身体活動の量および強度(水準)の要因がどのように関連するのかを明らかにすることを目的とした。研究の結果、1)幼児期から小学校期における筋量および筋力、並びにそれらの年齢変化に顕著な性差は認められないが、運動能力は、幼児期の段階において、すでに男児が女児より優れていること、2)運動能力の予測因子には男女児間で違いがみられ、それが運動能力に性差を生む要因の1つになっていること、3)筋量は、日常生活中の身体活動の量および水準よりも身体の自然発育の影響を強く受けているが、皮下脂肪量は、身体活動水準の影響を受け、幼児期から小学校期においては、身体活動水準の確保が肥満予防として重要であること、および4)運動能力は身体活動量よりも身体活動水準の影響を強く受け、日常生活中の身体活動として、通常歩行より強度の高い活発な動きの積極的な実施は、筋の機能的発達を促進することが示唆された。
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