研究課題
A. 睡眠時の発汗と皮膚血流温熱発汗指標のGSR回数/分は、睡眠第II段階では平均2.09、徐波睡眠では平均3.57、REM睡眠では平均1.53となった。手指皮膚血流の波形は下向きのみであり、血管収縮反応であることを示す。各睡眠段階の左手指尖部皮膚血管収縮回数/分は、睡眠第II段階では平均0.90、徐波睡眠では平均0.72、REM睡眠では平均1.18となった。これらの結果は、徐波睡眠とREM睡眠では温熱発汗と皮膚血管収縮とのそれぞれに対して特有な反応が相反的に生じていることを示している。B. 前額部血流-皮膚血管拡張変動の特徴各睡眠段階における平均値は睡眠第II段階:0.25 (ml/min/100g)、徐波睡眠:0.28、REM睡眠:0.30となり、睡眠段階における有意な変化は見られなかった。前額部においては発汗に伴う変化も手指皮膚血管収縮に同期する変動もともに拡張性であったため、SSNAの総量(皮膚血管運動成分+発汗成分)としては徐波睡眠とREM睡眠において、有意を示さなかったと考えられた。C. 睡眠時の音刺激に対する自律神経活動の効果器反応前額部皮膚電位変化(発汗指標)はNREM睡眠間では有意な差を認めなかったが、NREM睡眠に比較してREM睡眠では有意な低下を示した。前額部皮膚血流増加反応の平均振幅はNREM睡眠間では有意な差を認めなかった。しかし、REM睡眠で有意な低下を認めた。REM睡眠では前額部において発汗および血管変動の反応性が有意に低下したという結果を得た。睡眠時の聴覚誘発反応振幅はNREM睡眠に比較してREM睡眠で有意に低下するという結果が知られている。このことはREM睡眠では入力情報(音刺激)の処理過程においてその情報量が低下し、結果として交感神経活動への出力の低下を惹起した事が示唆された。D. 健常人における睡眠時の自律神経活動解析-心拍変動のスペクトル解析より-一晩の各睡眠段階における平均HRはLFおよびLF/HFと比し、HFとの間により良好な相関関係が認められ、HRの変動は副交感神経活動の影響を強く受けていることが示唆された。比較的近傍の睡眠段階で比較を行った結果、過去の研究結果と同様にNREM睡眠では深くなるにつれて交感神経活動は低下し、副交感神経活動が優位になることが示唆された。
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