研究課題
スポーツクラブにこれまで在籍したことがなく、頚部前屈保持に伴う眼球運動反応時間短縮が認められない被験者を対象として、安静頚部姿勢もしくは頚部前屈保持姿勢にて眼球運動反応トレーニングを行った。そのトレーニング前後で、頚部前屈姿勢保持時の眼球運動反応時間および自発性瞬目数の変化を比較した。被験者は、頚部前屈角度を20度に保持した姿勢にて眼球運動反応トレーニングを行う群(頚部前屈群)10名、安静頚部姿勢にてそのトレーニングを行う群(安静姿勢群)10名、およびコントロール群10名からなる。眼球運動反応トレーニングは、2〜4秒の時間間隔で左右交互に点灯する視標に対して衝動性眼球運動にて素早く注視するというものである。そのトレーニングは、1日につき1分間を10回ずつ、14日間行った。コントロール群は、トレーニング前後、および安静と頚部前屈の条件間で反応時間に有意差が認められなかった。両トレーニング群とも、トレーニング後、安静時のサッケード反応時間が有意に短くなった。その短縮値は、安静姿勢群では9.6±9.1ms、頚部前屈群では、13.2±12.5msであった。さらに、頚部前屈群でのみ、トレーニング後、頚部前屈保持に伴う有意な反応時間短縮が認められた。その短縮値は8.7±6.0msであった。一方、自発性瞬目数は、いずれの群においても、トレーニング前後、および安静と頚部前屈の条件間で有意差が認められなかった。頚部前屈を伴う眼球運動反応トレーニングを行うと、これまでに報告されてきた眼球運動トレーニング効果に加えて、頚部前屈保持短縮効果が認められるようになることが示唆された。この短縮効果と自発性瞬目数減少それぞれの神経機構のトレーニングによる形成は、関連性が低いことが推察された。
すべて 2008
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