研究概要 |
汎用マニピュランダムとしてクランク回転実験装置の製作とシミュレーションによる運動計画問題の検討を行った.平成19年度は,クランク回転実験装置は手先力を計測する力覚センサによって運動計測を可能とした.また,クランク回転装置の制御にNI社のReal-Time OSによって計測制御できる環境を整え,加速時計を用いた運動計測装置の開発も行った.このような実験環境は,バーチャルリアリティやリハビリテーションのための装置などにも応用でき,汎用的な実験装置となる.また同時に身体運動を計測するシステムの中で加速度計を用いた計測方法は,リアルタイムで関節トルクを推定できる点が特徴的で,その信号を用いたリアルタイム・フィードバック装置を開発した.本年度はこれに引き続き,モータの制御機構(機械装置)を加えて,実験装置を完成させて実験を行う. さらに,手先に内力の発生するクランク回転タスクを用いて,内力を含めて運動を良く再現する「力覚変化最小規範」を用いて,手先の力覚情報がどのように利用されているかを,これまで行ってきたヒトの心理物理実験と最適化によるシミュレーションとの比較によって検討した.シミュレーション結果から,この制御入力(関節トルク,または筋力)と手先力の両方を滑らかにする複合型規範である力覚変化最小規範が,多くのヒトの実験結果を良く再現することから,ヒトが手先の力覚情報を用いて運動を遂行していることを裏付けた.
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