研究概要 |
近年、いじめや不登校などの子どもの心の問題がクローズアップされており、これらの変化を踏まえた新しい時代の教育の在り方が問われている。学習指導要領による保健体育科目においても、豊かな人間性とたくましい体をはぐくむための教育の改善を図るために、心と体をより一体としてとらえる視点が強調され、人間関係力を高める運動教材の開発が急がれている。本研究は、こうした考え方をより推進するために、小学校体育に武道(剣道)領域を位置付け、小学生に剣道の特性を味わわせることによって豊かな心身の育成をめざす教材開発を試みることをねらいとしている。 剣道を小学校体育に導入するための諸課題として、1)小学生が用いて安全で且つ、学校予算で準備可能な用具の開発。2)小学校の発達段階に適した剣道の学習内容の作成。3)小学校教員に指導可能な授業モデルの作成等があげられる。 平成19年度は、第1に、小学生が使用する竹刀及び防具の用具開発に重点をおいて研究を進め、その結果、剣道の特性を有しながら、且つ安心感をもたらす打撃強度を有する軽くて安価な竹刀を完成させた。また、剣道具(防具)は、打具の打撃強度に関係して作成されていると考えられる。開発された簡易竹刀の打撃強度を緩衝する防具の開発に取り組んだ(平成20年度完成予定)。 第2に,中学年、高学年用の剣道の学習内容の作成に取り組み、その後、授業モデル作成のために、茨城大学教育学部附属小学校4年生120名(1学級40人,3学級)を対象に、1学級4回の剣道授業を実施した。その結果、児童の授業評価、授業のねらいに対する技能成果等の成績は高得点を示していた。
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