本研究では、身体教育の中でも、「表現運動」がからだ同士で交流し、表現・コミュニケーションする重要な機会となってきたことをふまえ、教員養成課程の「表現運動」領域の授業において学生たちの身体コミュニケーション力を育成しようと試みている。本年度は、対象となる授業のシラバス決定後に、研究がスタートしたこともあり、ポートフォリオを活用するための予備的作業が主に行われた。2大学で指導者がそれぞれ各大学の授業内容を策定し、実際に授業を行った。 授業終了時に舞時間学生の自己評価を行い、その結果を量的に検討した(この内容については島根大学教育学部附属教育支援センター紀要に投稿中)。また、策定した授業内容の妥当性を探るために他大学の教員を目指す学生たちも参加する「日本教育大学協会全国保健体育・保健研究部門第27回全国創作舞踊研究発表会」で指導法発表を行い、そこでも受講者の気づきについて調査を行った。また、現在は、2大学の昨年度の最終レポートの質的検討を中心に考察を進めており、20年度に学会発表を予定している。20年度の授業では、昨年度の量的検討の結果とその反省にもとづき、授業内容ごとに、学生の学びが検討できるような「学習の記録」を考案した。また、来年度のポートフォリオの実施に向け、オリエンテーションの段階で事前調査を実施し、その結果をふまえ、授業の進め方や評価の仕方を、学習者に提示した。この活動をもとに、21年度に実施するポートフォリオのガイドライン作成のための調査項目を選定する予定である。
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