研究概要 |
体育授業における動機づけ方略の検討に関する平成19年度の主な研究業績は、以下の通りである。 まず、体育授業における学習意欲や動機づけに関する文献を中心に収集し、現状の把握と動機づけ方略の理論的枠組みの検討を試みた。文献研究では、これまでのわが国の体育に関する動機づけ研究が、動機づけを規定すると考えられる(1)児童・生徒、(2)課題・教材、及び(3)教師の3つの要因のうち、主として達成動機、原因帰属、達成目標など、児童・生徒個人の要因に焦点が当てられてきたことを指摘し、「クラス全体」の指導を行う必要のある教師にとって利用しにくいといった問題点を指摘した。 理論的枠組みに関しては、体育授業における効果的な動機づけ方略を検討する場合、課題・教材や教師め指導といった視点を取り入れる必要性があることを指摘し、とりわけ学級風土、TARGET構造(Epstein,1983)や動機づけ構造といった児童・生徒を取り巻く学習環境全体の視点から幅広く動機づけ方略を検討することが有望であるとともに、教師自身が体育授業における動機づけを把握し、新たな取り組みの資料とするために、各クラスの体育における学習環境を把握する必要性を指摘した。 しかしながら、現時点では、体育授業における学習環境を客観的に診断・把握できる尺度が開発されていないことから、新たな測定尺度開発のための調査の実施の必要性を指摘するとともに、これらの円滑な実施に向けての準備態勢を強めた。
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