60歳以上の高齢者の「身体の使い方」に関する知識・意識・認識について質問紙調査した。4年間の結果は次のようにまとめられる。【対象者】男502名(68.3±7.5歳)、女595名(69.9±8.3歳)の計1097名(69.1±8.0歳)。【結果】知識・意識・認識の結果 1.股関節位置について、正面、側面とも正しい知識と評価できたのは1.9%、膝関節位置については12.4%、両方とも正しい知識と評価できたのは、1.2%だった。 2.階段昇降時に膝を前に進める意識の選択者が29.7%、立位姿勢から椅子に座ろうとする際に、膝を曲げる、あるいは胴体部を前傾する意識の選択者が43.0%だった。 3.椅子に座位した際の脚部の認識は、脚部が臀部とひとつながりでウエスト空間の下に位置するが33.8%、胴体部の途中からはじまるが66.2%であった。知識と意識の関係についての結果 股関節位置と膝関節位置についての知識が正しい人(1.2%)は、階段昇降時において、その96%が膝を前に進める意識であり、椅子に腰かける際においては、100%が膝を曲げるか、胴体部を前傾する意識であった。っまり、筋・骨格的に合理的と判断される動き方で行為をしていた。知識と認識の関係についての結果 股関節位置と膝関節位置についての知識が正しい人は、椅子に座位するイメージでは、100%が、脚部が胴体部の途中からはじまる図を選択した。つまり正しい認識を持っていた。なお、全ての項目において異性間の有意差は見られなかった。【結語】知識が正しい人は、骨格構造に沿った身体の使い方が出来ていた。ただし、約千人の内の1.2%に過ぎなかった。
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