公立保育園(IE保育園:9回、YH保育園:8回)、私立保育園(N保育園:11回、K保育園:12回)、公設民営保育所(M保育所:11回、SK保育所:5回)の設置形態の違う保育施設6筒所を対象に、合計56回のフィールドワークを実施した。延べ、160名の就学前児童(5歳児)のボールゲームの教授-学習活動を中心に、約1年間に渡って保育園における身体運動文化に関わる教育(=保育)実践を継続的に観察した(実施期間:07年4月18日〜08年3月25日)。 その結果、まず第1に、就学前教育(=保育)実践においては、身辺自立を中心とした"生活規律"の確立という目標がすべにおいて貫徹しており、それは管理ではなく"遊び"を通して実現されねばならないこと(生活課題)、第2に、集団経験が乏しく社会性の育成がとりわけ緊急かつ重要な課題として意識されていること(発達課題)、第3に、身体運動文化は、生活規律及び社会性の育成のための"遊び"の宝庫であり、中心的な題材・教材を提供していること、第4に、身体運動文化をベースにした"遊び"の、競争-協同機能によって、子どもの集団が質的に発展し学習規律が成立すること、そして、それが生活規律の確立や社会性の育成に大きく寄与している可能性が高いことを確認した。
|