中高年女性を対象にトレーニングとしてのスロー系ダンスの可能性を検討した。 1、50歳から80歳までの中高年女性を、I期に20名、II期に15名被験者として募った。 2、運動前に、健康状態のチェックと生活習慣・運動習慣の調査を質問紙によって行った。 3、運動は1回に90分前後、週1回のペースで全18回実施し、内容は「ストレッチ→ステップ練習→主運動」の順に組み立てた。主運動は「学校ダンス」「ダンカンダンス」「オイリュトミー」とした。 4、研究結果I主運動に採用したダンス作品の音楽上、技法上の特性は(1)テンポは80〜110bpmで、 moderateが主である。(2)既成の楽曲への振り付けが多く、曲と動きの区切りが一致している。(3)曲に内在したイメージを具体的に表現するよう振り付け、ジャンプ系の動きは少ない。 研究結果II「学校ダンス」に対する青年期女子の受容と気分に及ぼす効果を中高年への効果と比較した。(1)アンケートの結果、青年期女子も「学校ダンス」を肯定的に受け容れた。(2)心拍数を測定した結果、青年期のほうが同一作品での運動強度が高い傾向が示された。(3)POMSテストの結果、6項目中4項目で有意な効果が認められた。中高年より「気分」改善への効果が顕著であった。 研究結果III姿勢、柔軟性、バランス能への継続効果を検証した。(1)姿勢に対する顕著な効果は認められず、コンフォーメーチャーの測定で年齢相応の姿勢変化を示した。(2)一部の被験者で前屈に一過性、継続性ともに効果が観察された。(3)バランスボード上の動的バランスを前後動と左右動について測定した。継続的な運動経験が加齢による安定性の低下を抑える傾向が示された。前後動の安定にダンスの継続効果が認められた。片足立ち時間の測定結果とは関連が無かった。
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