研究課題/領域番号 |
19500516
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研究機関 | 帝塚山学院大学 |
研究代表者 |
飯田 貴子 帝塚山学院大学, 人間科学部, 教授 (60099554)
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研究分担者 |
來田 享子 中京大学, 体育学部, 教授 (40350946)
藤原 直子 椙山女学園大学, 人間関係学部, 准教授 (20329642)
藤山 新 東洋大学, 大学共同利用機関等の部局等, 奨励研究員 (00440008)
吉川 康夫 帝塚山学院大学, 人間科学部, 教授 (90200964)
風間 孝 中京大学, 教養部, 准教授 (50387627)
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キーワード | スポーツ / 性的マイノリティ / セクシュアリティ / ジェンダー / アンケート調査 / 社会学 |
研究概要 |
先行文献の検討、前年度の網羅的観察結果から、日本のスポーツ界における性的マイノリティの不可視性がより明らかになると同時に、インタビュー調査の難しさに直面した。 そこで、インタビュー調査にはいる前に、セクシュアリティの多様性への理解促進を目的として開催されている、関西レインボーパレード(2008年10月開催)集合場所において、学校時代の体育やスポーツ系の部活動における経験に関する自記式アンケート調査を実施した。 独立変数は、「同性愛・両性愛」、「トランス・その他」、「異性愛」の3群である。従属変数は、状況認識(同性愛に関して不快な発言を聞いた、他3問)、自己認識(グループが男女別に分けられることに抵抗があった、他3問)、抑圧経験(他人から身体接触をすることを嫌がられた、他5問)、ステレオタイプ(ゲイの運動能力は低いと思われていた、他1問)の4カテゴリーである。 結果の概要:異性愛を正常とし、同性愛を異常とする状況下において、学校教育の体育・スポーツを経験し、「同・両性愛」「トランス・その他」の性的マイノリティは疎外・抑圧経験を受けていた。その一方で、「同・両性愛」と「トランス・その他」では、異なった不快感や抑圧を経験していた。とりわけ「同・両性愛」には、自らの性のありかたを理由に暴力をふるわれた経験が多く、「トランス」は、性自認が尊重されないことにより心理的抑圧を受けていた。海外でしばしば指摘される運動能力に関するステレオタイプは見出せなかった。 日本の体育・スポーツにおいて性的マイノリティの疎外感や抑圧経験についての調査研究は未着手である。サンプル数が少ないなどの限界はあるものの本調査結果は、わが国のスポーツにおける性別二元性と異性愛主義の内在化がどのような問題を生じさせているかを明らかにする第一歩となると考える。
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