研究課題/領域番号 |
19500516
|
研究機関 | 帝塚山学院大学 |
研究代表者 |
飯田 貴子 帝塚山学院大学, 人間科学部, 教授 (60099554)
|
研究分担者 |
來田 享子 中京大学, 体育学部, 教授 (40350946)
藤原 直子 椙山女学園大学, 人間関係学部, 准教授 (20329642)
藤山 新 東洋大学, 現代社会総合研究所, 奨励研究員 (00440008)
吉川 康夫 帝塚山学院大学, 人間科学部, 教授 (90200964)
風間 孝 中京大学, 教養部, 准教授 (50387627)
|
キーワード | スポーツ / 性的マイノリティ / セクシュアリティ / ジェンダー / インタビュー調査 / 社会学 / ガイドライン |
研究概要 |
海外の性的マイノリティに対するガイドラインの検討に関しては、まず、欧州評議会におけるスポーツと性に関わる差別に対する近年の決議や勧告の審議について考察した結果、同性愛者のスポーツの権利を擁護し、スポーツ界における同性愛嫌悪という差別を指摘する内容を見いだせた。次に、欧米7カ国の政府スポーツ担当局やスポーツ及び女性スポーツに関わる最大のNGOが策定したガイドラインを考察した結果、共通点として、ガイドラインには性的マイノリティに関する用語の定義、差別の事例、問題解決に向けた具体的取り組み方法、相談機関、法律等が含まれており、根底に性的マイノリティ当事者の性指向や性自認を尊重するという基本姿勢が貫かれていることが見いだされた。 性的マイノリティに対するインタビュー調査は、スポーツ経験者の異性愛男性及び女性へのグループインタビュー、スポーツ経験者のレズビアンへの個人インタビューを行った。質問内容は、スポーツ界における「男らしさ、女らしさ」「同性間の絆」「同性愛者のカミングアウト」等についてである。その結果、日本は同性愛者に対して寛容な風土を持つとの指摘も見られるが、スポーツ界では同性愛嫌悪がきつく、拒絶感はゲイに対してより強く、チーム内のレズビアンの存在が、チームの結束に負に働かないのに対し、ゲイでは負に働き、排除されている現実が明らかになった。さらに、このような環境では、カミングアウトは難しく、レズビアンたちのインタビューにおいて、性的指向が同じ者が集まるスポーツクラブを好むという回答とも一致した。ゲイの排除は、身体のコミュニケーションが密なスポーツ環境において、男同士の性的な関係性が表面化されやすいことへの恐れと読み取ることができた。 日本のスポーツ界では、性的マイノリティに関する調査研究が全くされていないため、上記の二つの検討は、この領域における重要な基盤研究となるであろう。
|