研究概要 |
前年度の研究成果の報告に対して、身体能力の調査に関して(1)実験群だけでなく対象群を設定する必要、(2)調査の各段階間の飛躍ないし順序性の混乱、の問題指摘を受けた。 そこで、今年度の研究では、身体能力の調査方法をこの2点について修正して、茨城県の小学校6年生16 (男6,女10)名、4年生54(男27、女27)名を対象に調査を行った。生活アンケートの内容・方法については前年度と同様である。 1. 全調査対象者70名においては、調査(2)(2回目の調査)で、「からだを前に曲げる」については、実験群(47名)は53%の児童の成績が向上し、対象群(23名:実験群がからだの学習を行っている時間に生活アンケートを行った)は39%の成績が向上した。「ものを持ち上げる」については、実験群は62%の成績が向上し、対象群は35%の成績が向上した。 2. 全調査対象者のうち、実験群と対象群とでからだの学習と生活アンケートの順番を入れ替えて間に挟んで3の調査を行った52名においては、両調査項目、実験群(29名)、対象群(23名)に共通して、調査(2)では35%〜52%の成績が向上し、調査(3)では13%〜31%の成績が向上した。しかし、これらの統計学的な有意差は検証できなかった。 3. 生活アンケートについて、前年度と本年度の調査を合わせた全対象者471名について学年ごとの比較を行った。その結果特に顕著な差が見られたのは次の通りである。 「就寝時間」では10時半以降に就寝している子どもは4年生26.0%、6年生56.1%、「嫌い・食べられないものがある」と回答したのは4年生51.3%、6年生59.0%、「目が疲れることがある」という回答したのは4年生40.2%、6年生58.3%、「いらいらすることがある」と回答したのは4年生50.0%、6年生57.8%と、どの項目でも4年生より6年生の方が高い値を示しており、学年が上がるにつれて生活実態が悪くなる傾向が明らかになった。
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