陸上競技の疾走速度について、児童期において、ストライドの増大によって、疾走速度は向上し、ストライドの増大は身長の発育によるところが大きいことが報告(宮丸1990、加藤ら1985)されている。しかし、第二次性徴の時期とされる小学校高学年から中学生の時期は、個々の子どもの発育発達段階に大きな差が出るのが特徴である。この時期の疾走速度は、身長の発育によって左右される可能性が高く、疾走能力が高い児童・生徒は、一般的に身長が高く早熟である可能性を否定できない。個々の子どもたちの発育発達段階がわかれば、個人差に応じた陸上競技短距離の指導を的確に行なうことができる。なお、身長の年間発育量を数年間、調査することによって、子どもの発育発達段階を個々に評価することができる。そこで本研究では、児童・生徒(中学3年生まで)において、(1)体格・体力・疾走能力の分析を縦断的に調査し、各児童・生徒の身長発育速度曲線をもとに疾走能力を検討している。
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