研究課題/領域番号 |
19500528
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
仁木 國雄 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (80208248)
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研究分担者 |
冨澤 一郎 電気通信大学, 電気通信学部, 准教授 (50111696)
金子 克己 電気通信大学, 技術部, 技術専門職員 (90377036)
石井 明 香川大学, 工学部, 教授 (90134866)
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キーワード | 計測工学 / トライボロジー / 表面・界面物性 / 雪 / スキー |
研究概要 |
スキーの滑走性について、摩擦融解説が世界的には広く受け入れられているが完全に証明されているわけではない。我々は、-10℃程度の低温でしかもスキーとすれば超低速度の1cm/sにおける摩擦係数が、通常のアルペンスキーと同程度の値を示す実験結果に着目し、スキーの摩擦原理を再検討した。 具体的には、雪や温度、滑走速度を変えモデルスキーの摩擦係数を比較し、雪温と滑走速度を変化させたときの、摩擦係数の等値線を得た。その結果、(a)-10℃以上の高温領域では、0.03m/s辺りの滑走速度に摩擦係数の大きくなる極地が見られた。その高温側極地からの速渡上昇に伴う摩擦係数減少は、一見摩擦融解説で説明できそうであるが、荷重を数倍にしても目立った変化は無かった。つまり、この摩擦係数減少は摩擦融解による潤滑摩擦では無いことがあきらかとなった。(b)一方、-10℃以下の低温領域では、高温領域とは反対に、速度が速いほど、また温度が低いほど摩擦係数が大きくなることが分かった。この現象は、低温で雪の結晶が硬くなり、雪面を滑らかにするための凝着破壊抵抗が増すと考えられる。 以上の測定結果から、-10℃以上で高温高速で摩擦係数が小さくなるのは、速度が上がると凝着の効果が減少することと、雪面が柔らかくなることにより説明出来る。一方、低温領域では雪粒子が硬くなりせん断応力が大きくなるために摩擦力が増加すると考えられる。つまり、世界的には広く受け入れられている摩擦融解説を用いなくても、スキーが良く滑ることは説明出来る可能性が高い事が解った。
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