研究概要 |
【目的】本研究では,低酸素環境下と常酸素環境下におけるレジスタンストレーニングによる筋の肥大(MRI撮影)および筋力(1RM測定)の変化および血液学的データについて比較し,低酸素環境下でのレジスタンストレーニングにおける効果を明らかにすることを目的とした。 【方法】本研究では,健常な男子学生13名を対象とし,この中から7人を低酸素環境下でのトレーニング群(低酸素群)6人を常酸素環境下でのトレーニング群(常酸素群)に分け,実験を行なった。低酸素環境はアルティキューブ(常圧低酸素室)を用い,16%(標高2200m相当)に設定しトレーニングを行わせた。レジスタンストレーニングの内容はフレンチ・プレス,バイセップス・カールの順に非利き手側の腕で行ない,回数はフレンチ・プレス,バイセップス・カール共に10回1セットとし,4セットずつ行なった。低酸素群は,実験開始から終了までアルティキューブ内に滞在し続けた。このトレーニングを週2回×6週間の計12回行った。トレーニング前と6週蘭後にMRI撮影を行い,筋横断面積について比較した。筋力についてはトレーニング前,3週間後,6週間後の3回測定した。 【結果および考察】1)MRIデーダについて上腕三頭筋,上腕二頭筋,上腕筋全ての筋断面積において,低酸素群にめみトレーニング前後で有意な増加(p<0.05)が認めらた。 2)最大挙上量(1RM)について最大挙上量において,トレーニング3週間後,トレーニング6週間後で低酸素群,常酸素群ともに有意な増加(p<0.05〜0.001)が認められたが低酸素群の方が増加率は高い傾向を示した。 以上のことより,低酸素環境下におけるレジスタンストレーニングは筋量増加に有効なトレーニシグ方法であることが明らかとなった。しかし、低酸素環境下におけるレジスタンストレー二ング実施が,GHなど筋肥大に作用するホルモン等の上昇を有意に促進させる結果は得られなかった。以上の結果についての機序解明については今後の課題である。
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