調査対象である「阿波蜂須賀藩で行われていた水練」を探るため、徳島県立図書館、徳島市立博物館、阿南市図書館、等に貯蔵されている文献・資料等の調査を行った。また、国会図書館においてこれに関連する蔵書の検索を行い、関係資料の複写を得た。しかし、その多くは阿波水軍の海上戦力としての戦績、および海上輸送を主とする阿波藩の物流システムとしての実績を示す資料が大半を占め、水中での身体活動としての実態を示す資料の発見には至っていない。 そこで、阿波水軍の拠点のひとつであった阿南市椿泊において、水中作業に従事したとされる伊島の海女であった人物に直接面接し、聞き取り調査を行い、古文書資料では得られていない水中活動に関する貴重な証言を得た。 さらに日本各地における古式泳法との関連を検討するため、徳島と地域的な関わりが深く、異国の泳法文化を広く取り入れたとされる紀州和歌山の古式泳法各流派(小池流・岩倉流・野島流)、および鹿児島神統流保存会に出向き、歴史資料ス学芸資料を探り、阿波水軍の技法や泳法との関連を検討した。
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