本研究課題で取り組もうとしているGPSを利用しての航跡情報に関しては、近年国内外において様々な団体が現場活動において実践的に活用しているという報告が見られるが、セーリング競技において視覚的情報と選手のコース選択に関する認知との間にどの程度の開きが生じているのか、あるいは与えられた情報が効果的であるかどうかといったことについて検討した研究はみられない。本研究の成果は、近年安価で入手できる全地球測位システム(Global Positioning System)を用いて、今まで不透明だった航跡を選手にフィードバックさせることで競技成績に大きく貢献できる有用な情報を与えるといった新たなトレーニング方法を開発しようとするものである。平成19年度は、文献調査、海上でのデータ収集、データのフィードバック方法の検討、コーチング支援システムの開発について取り組んだ。海上でのデータ収集では、(1)ボートスピード及びコース選択に関するデータのリンク、(2)レースコースに対するコース選択の視覚化、(3)ボートスピードおよび風上・風下方向への成分の視覚化、について取り組んだ。その成果の一部は、バイオメカニクス研究II(2)において「セーリング競技-GPSを用いた航跡分析の可能性-」を論じた。また、ボートスピードに関する分析結果の一部は1st International Scientific Conference on Aquatic Space Activitiesにおいて「Assessment of Action in the Upper Part of the Body on Upwind Dinghy Sailing Performance using a Differential GPS」といった題目でのOral Presentationを実施した。
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