1. DGPSを用いた艇速度の測定 DGPSを活用した試みでは、現在オリンピッククラスとして設定されているRS-Xクラスのウインドサーフィンおよびレーザークラスのディンギーを被験艇として艇速度の検証を行った。実験1では日本代表選手を含むナショナルチーム選手を対象者としてウインドサーフィン競技におけるパンピング動作(セイルパンピング)の有効性について検証し(未発表)、速度に影響を及ぼす技術的な要因を分析することができた。この測定はセーリング競技における風上航での分析であるが、実験2では国内大会で入賞経験のある一流選手を対象として、ディンギーを用いたダウンウインド(風下航)での計測を試みデータを収集した(未発表)。ダウンウインドでのセーリングにおけるスネーキング技術の有効性について検討し、データ分析後に公表する予定としている。 2. 単独測位GPSを用いたコーチングシステムの開発 単独測位GPSを活用した試みでは、松崎たちの開発した「どこでもヨットレース」を活用し、選手のコース取りを検証するためのチェックシート(コーチング支援のための評価用紙)を開発した。また、GPSレシーバーを選手に装着してもらうためにライフジャケットに改良を加えた。論文「ウインドサーフィン競技におけるレース戦略の改善を目的としたGPSの活用」では、このレースの様子をレース後に選手に視覚的にフィードバックすることのみでも総セーリング距離が減少する効果が得られているが、今後は、コーチング支援のための評価用紙を活用してコーチングを実施することにより、戦術・戦略に関する能力がどのように向上するかを検討していく必要がある。
|