出力電圧が入力加速度に正比例し、かつ本研究目的で使用する限り出力が飽和することのないレンジを有する3次元加速度センサを搭載し、一定時間(1分等に設定)ごと一昼夜以上にわたって、歩行ならびに走行別の歩数、両動作別合計時間、および、両動作別加速度波形全波整流積分値をメモリICに記録し、エネルギー消費量を推定する携帯式の装置を試作した。歩行、走行にともなう着地の検出においては、ソフトウェアにより一回の着地で2重、3重にカウントすることを防ぐとともに、身体の移動速度が大きくなり従って着地の時間間隔が短くなる(このとき、着地の衝撃は大きくなる)につれ、着地を検出する加速度のスレッシホールドレベルを高くし、これによって着地の衝撃が小さくても大きくても、着地を正しく検出できるようにした。なお、被験者にトレッドミル上で、時速1~6kmの歩行、6~10kmの走行を行わせ、加速度の全波整流積分値とエネルギー消費量の関係を求めたところ、両者は歩行と走行で異なる2本の曲線によって近似された。そこで、着地による衝撃によって発生する加速度波形のほか、滞空期の有無による重力変化の差異をも考慮して歩行と走行を判別し、一定時間ごと、加速度を一歩ごと両動作いずれかに積分し、同時に両者の一歩時間をもそれぞれ合計(残りの時間は安静)した時系列データをもとに、エネルギー消費量を計算した。このことにより、これまで使用されてきた類似の装置と比較し、エネルギー消費量の推定精度を高めることができた。
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