両側性・一側性の筋力トレーニングが力-速度-パワー関係におよぼす影響を検討するため、一般男子学生13名を被験者として、両側性トレーニング群(BL;n=6)と一側性トレーニング群(UL;n=7)の2群に分けて、BLにはツーハンズ・カール(TC)を、ULにはダンベル・カール(DC)をそれぞれ80%1RMの負荷で7-10回の反復を1日3セット、週3日の頻度で8週間おこなわせた。テストには、TC、DC(左右)の1RMを測定すると共に、Wilkieと同機構の改変型エルゴメーターを用いて力-速度-パワー関係を求め比較検討した。 その結果、1RMについてはBL、ULともに、TC、DC(左右)の値が有意に増加し、TCはBLがULに比べ明らかに増加し、DCではULがBTを上回る傾向を示すトレーニングの特異性が見られた。一方、力-速度-パワー曲線は、BL、UL両群とも両側性および一側性の右、左、平均のいずれの負荷強度での収縮速度に有意差はみられなかった。Fmax、Vmax、Pmaxは、BLは両側性収縮による、左のFmaxと平均のPmaxに有意差がみられた。また、ULでは一側性収縮による、右のFmaxとPmaxに、平均にはFmaxに明らかな増加が認められたことからトレーニングの特異性を示唆した。しかし、VmaxにはBL、ULの両群とも変化はみられなかった。両側性指数(BI)についてはFmaxにおいて、BLでのトレーニングより両側性が促進され、ULでは両側性機能低下が増大したが、VmaxとPmaxにはほとんど変化はみられなかった。以上の結果から、両側性、一側性の筋力トレーニングは、Fmax、Pmaxには特異的なトレーニング効果をもたらすが、lateral specificityはFmaxにのみ認められ、Vmax、Pmaxには見られないということが示唆された。
|