研究概要 |
1.研究の具体的内容 本研究の目的は、既婚女性のスポーツ活動を積極的に推進するための効果的な方策を検討するものであり、事例としてスポーツへの取り組みが活発な熊本市においてアンケート調査を実施した。得られたデータから、どのような背景をもつ女性にスポーツ活動への働きかけをすることが有効なのか、実証的に検討した。調査は、熊本市男女共生推進課の協力の下、住基ネットを用いて20〜65歳の男女2,000名を抽出し、郵送法による配布・回収を行なった(期間:2008年3〜4月,回収率38.6%)。どのような背景をもつ女性への働きかけが効果的なのか特定するため、個人の余暇に対する意識や行動傾向(余暇志向性尺度)からグループ化を試みた。余暇志向性尺度を因子分析し「長期展望・向上」「主導性」「対人関係志向」「身体活動」「利他主義」「外出・直接体験」の6因子を抽出した。さらにその因子得点に基づいてクラスター分析を行ない、試行的に5つのグループに分類した。その中で最も効果的な働きかけが可能なグループとして、スポーツは日常的に定着していないが関心はそれ程低くはない「平準型」が浮かび上がり、今後の働きかけで行動変容しやすいグループであると推測された。 2.研究の意義 スポーツ活動の促進要因を扱った既存研究では、個人の余暇に対する意識や行動傾向(余暇志向性)の観点から検討したものはない。さらにその志向性の程度で類型化し、グループでそれぞれ適切なスポーツ活動への働きかけを模索した研究も皆無である。本研究はグループ特性によって効果的なスポーツ活動への働きかけ、また個別的な方策の提示が可能になると考える。 3.研究の重要性 本研究は、女性の積極的なスポーツ活動への行動変容を促すため、個別的な方策(モデル)の提示を試みる。これにより、潜在的なスポーツ実施者を掘り起こし、女性のスポーツ実施率に寄与する重要な研究だと考える。
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