研究概要 |
平成19年度は,九州大学応用力学研究所との共同研究によって,大型風洞を借用して実験的研究を行った。 1.実験内容 (1)一様流中に静止したサッカーボールに加わる定常抗力,非定常揚力、横力を精度良く調べた。 (2)同じく風洞気流中に置かれたサッカーボールの背後にタフトを配置し,後流渦の挙動を高速度カメラで撮影した。渦の挙動と非定常流体力の対応関係が求められた。 2.実験の意義 (1)サッカーボールの定常抗力は,新旧2種類のボールについて調べ,両者とも滑面球よりも低いレイノルズ数で超臨界領域の流れになる。サッカーボールの魔球的変化は滑面球の超臨界領域の流れで発生している。 (2)非定常揚力、横力はランダムに変化し,その振幅から,ボールがどの程度変位するか,ということが求められた。その結果は,実際のボールの変位を定量的に説明できた。 (3)タフト法による流れの高速度カメラ撮影から,Taneda(1976)が述べた,球面背後の馬蹄形渦と2列の縦渦のうちの,2列の縦渦による流れが捉えられた。そして,この渦が球の幾何学的中心線の周りにまったくランダムに回転する様子が撮影できた。 (4)2列の縦渦の位置変化の様子と,揚力、横力の方向の対応関係が付いた。 (5)従って,サッカーボールのゆらゆら揺れる空気力学的なメカニズムは,この渦の発生がランダムに位置変化することによる。 3.重要性 (1)超臨界レイノルズ数における馬蹄形渦と2列の縦渦による,自己励起型のパフェッテング現象である,と結論できる。 (2)これらの成果は,2008.7.14-16に英国サリー大学で開催される,英国風工学会で発表する。
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